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processトーガシが選ばれる理由

オフィス街に輝くクリスマスツリー、その知られざる舞台裏「新宿NSビル クリスマス装飾」の事例

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新宿NSビル クリスマス装飾

西新宿の超高層オフィスビル街にある、30年以上もの歴史を持つ新宿NSビル。1階から30階までの吹き抜け構造を活かし、毎年のクリスマスには大きなツリーが飾られています。そして2017年より、ツリーやビル全体のクリスマス装飾をトーガシが受注し、統括マネージャーを中嶋、統括プロデューサーを小杉、装飾ディレクターを横須賀、施工ディレクターを仙洞田が担当しました。トーガシに発注を決めた理由や企画から施工までのストーリーを、新宿NSビル株式会社の菅谷様に伺いました。

長年クリスマス期間の“顔”として親しまれるツリー
トーガシによる日頃の対応が評価され、2017年に指名で受注

――トーガシに発注された理由をお聞かせください。

菅谷様
新宿新都心街の“風物詩”ともいえる長年続けてきたイベントですので、地域の方にも親しんでいただいていると思っています。以前は3~4社のコンペを実施し業者を選定していましたが、まるで持ち回りのような特定業者の受注によるマンネリ化により、一定レベルの展示装飾が年々厳しくなっていることに危機感を覚え、この形式にこだわる必要もないと考え、普段からイベントでお世話になっているトーガシさんに2017年にお声がけした次第です。
中嶋
はい。当社はもともと、新宿NSビル内のイベントホールの指定業者としてお世話になっています。取引実績も多く、長年お付き合いさせていただいている会場だったのです。
菅谷様
イベントの設営業務でもいつも柔軟に対応してくださるので、今回も試しに「できないか」と聞いてみると、「他でも実績があります」という回答でした。社内に施工だけでなくデザインなどさまざまな部署があり、企画から施工まで一貫して行っていることは知っていました。今回も提案力に期待して、お願いすることにしたんです。
中嶋
私はこのビルの営業を2年ほど担当しており、毎年クリスマスツリーを見るたびにキレイだなと思っていました。でも、どこの会社が装飾を行っているか知らなかったのです。菅谷さんから最初にこのお話をいただいた時は、チャンスが来た、なんとしても挑戦したいと思いました。

新宿NSビルらしさを大切にトレンドを取り入れ、装飾案を複数提案
斬新なテーマで、企画から施工まで一貫して担当

――お話を受けた際に感じたことはありますか?

中嶋
それまでは眺めているだけだったので、このビルで使用しているツリーの土台や構造を1から勉強することが課題でした。まずは、過去の事例を調べることからスタートしたんです。吹き抜け部分にあるワイヤーの設置場所などは現地調査で地道に調べ、前年に装飾を担当されていた会社にも引継ぎの際にお話を聞きました。また、ビルで保管している部材が揃っているかの確認も必要だったので、初めて担当した2017年は、とにかく手探りでプロジェクトを進めていきましたね。

――企画はどのように考えたのでしょうか。

中嶋
新宿NSビルのツリーは毎年面白い装飾が施されていて、ある意味“アトラクション”のような雰囲気。それにいかに近づけるかが課題でした。その時に声をかけたのが小杉です。長年一緒に仕事をしてきたので、面白い提案を考えてくれるだろうと期待していました。小杉には「良い話があるんだけど、1週間後に3パターン考えてくれないか」とかなり急な話をしてしまいましたが(笑)
小杉
本当にそんな感じでしたね(笑)中嶋から話を受けた時に2人で決めたのが、「3案ともトーガシらしいね」とは思われないようにすることです。あくまでA社、B社、C社からプレゼンを受けたと感じるように、バリエーション豊かな提案を心がけました。内容を考える際には、新宿NSビルらしさを常に意識しました。例えば、高層という特徴を利用したり、ビジネス街にあることからビジネスパーソン向けの企画を考えたり……。さらに、恵比寿や表参道とは違った新宿らしさを表現する切り口で考えつつ、その時のトレンドも取り入れています。複数ご提案した結果、最終的に2017年はアクアリウム、2018年は城をテーマに演出させていただきました。2018年の時には他にも、グランピングやおもちゃ工場の案もあり、私のオススメはグランピングだったのですが……(笑)
菅谷様
確かに、提案の時はグランピングをやりたくて仕方がないオーラが出ていたね(笑)
中嶋
今思うと、少しチャレンジングなテーマでしたね。
菅谷様
今回は、多くの人にとって分かりやすい「城」を選ばせていただきました。その後何点か修正していただき、昨年以上にステキな装飾になったと思います。コンペで依頼業者を選定していた頃は、3社の提案の中から決めたものを実施しますが、正直に言えば、今年はイメージが合わないな、と思う時もありました。しかし、時間も限られているためそのまま制作しなくてはなりません。また、実際に作業するのは下請けの方なので、修正をお願いしてもかなり時間がかかってしまいます。1回の修正に3日かかるケースもありました。一方で指名なら、1度ご提案いただいた中から基本的な方向性は決めつつ、その後は意見を出し合いながら作り上げていく時間的な余裕が比較的あります。また、トーガシさんは企画から施工まで社内で連携しているので修正も早い。そういう意味では、とても仕事がしやすいと感じました。

――トーガシにはどんなことをリクエストしましたか?

菅谷様
ツリーの下にある、さまざまな機材を隠すための土台が装飾もなく無機質で、少し寂しいと毎年感じていたので、何か工夫がほしいと依頼しました。また、一番の特長である吹き抜けを活かして、ツリー単体ではなくビル全体で一体感が出るような装飾をお願いしました。
横須賀
そうでしたね。一体感に関しては、2018年は大きいオブジェを1つ置くよりも、テーマである「城」にちなんだモチーフをビル内に散りばめることで表現しました。まとまっている雰囲気も出しつつ、随所でポイントとなるデザインパーツを配置したんです。例えば、エレベーターホールの前には城の柱を模した装飾を置いたり、レストランフロアである29階の柱にもステンドグラス風のデザインを取り入れたり、上下の階で統一感が出るよう意識しました。また、2017年に初めてツリーに関わって感じたのが、子連れの方の存在です。新宿はオフィス街のイメージがありましたが、土日や祝日には家族連れでいらっしゃる方も多いことに驚きました。そこで、ツリーの土台部分には小さな子どもにも面白いと感じてもらえるよう、ステンドグラスに電飾を施し、近づいてみたくなる工夫を凝らしました。
小杉
吹き抜けも活用しつつ、全体でテーマを表現する構想は2017年も同じです。一方で2018年初の試みだったのが音楽。光と音によるインスタレーション、今回の場合で言うといわゆるミニショーを行う際に使用する音楽を、全てオーケストラの生音で用意しました。マッシュアップやカットアップといった最近のトレンドを取り入れつつ、舞踏会や晩餐会をイメージできるように工夫しました。
仙洞田
施工担当である私が最も意識したのは、安全に作業することです。せっかく良い装飾ができても、制作中に事故があっては意味がありません。まずは安全第一、その上でお客様の希望を叶えることを常に意識しています。また、できる限り提案通りの装飾を実現できるよう工夫しました。デザインが複雑な場合は、社内の各部門の責任者と何度も打ち合わせを重ねました。
菅谷様
トーガシさんの施工で印象に残っているのは消火器ですね。ツリーの四隅には防火上の観点から消火器を置くのですが、ツリーのイメージを壊さないために自主的に専用台を用意し、設置してくださいました。こういった細かな部分へのこだわりを感じましたね。
仙洞田
来館された方が写真撮影をする際に、写りこむ恐れがあると思ったんです。2018年は専用台には設置していませんが、倒れにくくかつ非常の際にはすぐに取り出せるような固定の仕方にこだわりました。

ツリー完成後も危険箇所の発見や演出の確認などを徹底
細部までこだわり抜いた結果、2年続けて高評価を獲得

――完成していかがでしたか?

菅谷様
以前までの会社は完成したら基本的に終了のスタンスで、ちょっとした手直しも1週間ほどかかっていました。それが当たり前だと思っていましたが、トーガシさんの場合は公開後も1週間くらいは、どなたかが毎日見に来てくださいます。また、こちらからお願いしなくても「ここの部分を少し直しますね」と提案してくださるんです。ずっと見守っていただいている安心感はありますね。
中嶋
やはり、本番が始まってからわかることもありますからね。平日はオフィス関係の会社員が多いですが、休日になるとファミリー層が来館されます。すると、危険な場所も変化するんです。どの時間帯にどういった人が来て、どんな危険が発生しうるのか確認しなければなりません。1か月近く開催しているイベントですので、もしもその期間に事故などが起これば私たちの責任です。演出が定刻通りに開始するかのチェックも含めて、最初の土日には携わったメンバー全員が集合します。
小杉
機械はなかなか信用できないんです。昨日は動いたのに今日は作動しない可能性もゼロではありませんから。
仙洞田
往々にして、長期のイベントには予期せぬ出来事が発生することもあり、完成後も気は抜けません。

――周りからの反響はいかがでしょうか?

菅谷様
テナントや1階の受付から話を聞くと、全体的に昨年よりもさらに良い印象を持っていただいています。トーガシさんには、今後も予算をふまえつつも、さらに工夫された企画を期待しています。今年も良いご提案をいただいたので、ぜひ引き続きお願いできれば嬉しいですね。
仙洞田
まずは2年続けて、チャンスをいただきましてありがとうございます。ツリーの公開期間に私も見に行きましたが、とある家族がツリーの前で記念撮影している風景を見て、思わず胸が熱くなりました。顔も名前も知らない人々のちょっとした幸せの一瞬を作り上げたのだと思うと、それまでの苦労も吹き飛びました。今後も来場してくださる方の思い出作りに貢献できればと思います。
小杉
「メッセージをターゲットにどう伝えるか」を意識するのは、展示会でもシーズンイベントでも変わりません。新宿NSビルで働く人たちがこのツリーを誇りに思ってもらえるよう、これからも努力していきたいですね。
横須賀
私がクリスマスのイベントに関わるのはこのプロジェクトが初めてだったので、実際に来場したお客様の顔が見える案件に携われて良い経験になりました。自分たちが作り上げたもので、多くの人が笑顔になる場面を見かけるとやはり嬉しいですね。デザイン面も改善しながら、これからも尽力していきます。
中嶋
これだけ大規模な、しかも企画から施工までの全てを担当したクリスマス装飾の案件は、当社の中でも初めてかもしれません。それゆえ、初受注だった昨年は、完成後に大きな達成感や感動が得られました。今後の理想は、多くの人から「あのツリーを見るために新宿に行きたい」と思ってもらうことです。そして、テナントの方が営業先でお客様から「あのクリスマスツリーがある場所だね」と話題になるような、充実したコンテンツを企画していきたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

――本日はありがとうございました。