株式会社トーガシ TOHGASHI CO., LTD.

processトーガシが選ばれる理由

ゼロからのイベント立ち上げを支え、業界活性化に貢献「鉄筋EXPO」の事例

総合プロデュース 企画 施工

鉄筋EXPO

2017年11月に開催された鉄筋EXPO。それは、鉄筋業界に特化した世界初の展示会です。鉄筋加工機械のパイオニアとして国内シェア9割以上を誇る東陽建設工機株式会社の松本様は、業界全体を盛り上げるためのアイデアとして展示会の開催を考案。その立ち上げから施工までの総合プロデュースを、トーガシが担当しました。実は、トーガシもイベントをトータルでサポートするのはこれが初めて。なぜ総合プロデュースに挑戦したのか。そして松本様はどうしてトーガシに発注を決めたのか。このイベントの統括を担当した秋山が、その真意に迫ります。

――「鉄筋EXPO」を開催しようと考えたきっかけを教えてください。

松本様
このアイデアが生まれたのは、私がプライベートで旅行に行き、温泉から上がって庭を眺めていた時です。我々の企業理念の一つに「鉄筋業界のリーダーたれ」というものがあります。普段は鉄筋加工用の機械を製作・販売していますが、使ってくださっているお客様も含めて業界全体が盛り上がるための方法をずっと考えていました。そして旅先で、ふと、展示会を開催して皆さんに見てもらおうと思いついたのです。これまでも建設業界の展示会には参加してきましたが、これでは一部の人にしか見てもらえません。現場の道具や鉄筋を作る会社など、もっと鉄筋業界全体を巻き込んで、何か一つのイベントを開きたいと思って動き始めました。それが2013年の6月。そしてその年の9月には会社の役員会に企画書を提出し、実行することが決まりました。ただ、全てが初めてなので分からないことだらけ。まずは協力者をどう集めていくか、周りをどれだけ巻き込めるかが課題だと感じていました。

――トーガシを知ったきっかけは何でしたか?

松本様
企画が動き始めて最初に取り組んだのが、会場の決定とイベント会社の検討でした。会場はビックサイトを希望していましたが、2020年東京オリンピックが決定した関係で求めていた条件が難しいと判明。最終的に幕張メッセで行うことにしました。一方イベント会社は、インターネット上で見つけた3社に加えて、普段からお世話になっている大手専門商社の方にも相談に行きました。この会社では大規模な展示会を毎年開催しているので、詳しいと思ったのです。すると、「毎年トーガシさんという会社にお世話になっているから一度話してみたらいい」とアドバイスをいただきました。
秋山
その専門商社は、私たちも30年来お付き合いしているクライアントです。担当の方からは「秋山くんが引き受けるなら紹介したい案件があるんだけど、どうする?」と聞かれました。そこまで仰るならと、自分が担当しようと決意。その後、何度かプレゼンし、最終的には4社コンペの結果、ご発注いただきました。

――トーガシを選んだ理由は何ですか?

松本様
まず1つ目は、どんなことでも相談に乗ってもらえそうな雰囲気があったから。イベントを企画するのは初めてなので、分からないことだらけです。しかし、イベント会社が提案する方向に一方的に進んでしまうのは怖かった。だから、一つひとつ相談しながら進めていきたいという希望がありました。そして、秋山さんの熱い気持ちが伝わってきたのが2つ目の理由です。
秋山
実は、トーガシはそれまで施工会社として事業を行ってきました。つまり、イベントをゼロから立ち上げるのは初めての経験だったわけです。当時の私は、東京本社に営業責任者として赴任してきたばかりで、これから会社を成長させていくにあたり、施工や備品レンタルのみで事業を進めることに疑問を感じていました。そこで、当社の社是・社訓の中の「Total-planning:総合企画・イベントの総合プロデューサーたれ!提案型プロ集団になれ!」という言葉に立ち返りました。そうだ、今後は総合プロデュース業で勝負していこう。そう考えていた矢先にお話をいただいたのです。だからこそ、チャレンジしたいという意欲が強く伝わったのだと思います。施工部分はトーガシ、主催部分はお付き合いのある協力会社でタッグを組み、私が総指揮を担当することに。初めてのことで不安はありましたが、施工に関しては50年以上の歴史による自信があったため、その他の部分はパートナーの力を借りながら取り組めば、できないことではないと確信していました。

ビジネス向け展示会として3日間にわたり開催
そこに込められた実行委員会の想い

――イベントを行う中で苦労したことは何ですか?

秋山
いろいろありましたが、1つはイベントの開催期間を3日間にしたことですね。期間が長いと集客が大変ですし、出展する企業の方にも負担がかかりますから。ただ、実行委員会からは「どうしても3日間行いたい」という要望がありました。
松本様
まずは金曜日にビジネスデーを設けて、シンポジウムを行ったり、企業の方に商談に来ていただきたかったんです。また、全国鉄筋工事業協会が2年に1度行っている「TETSU-1グランプリ」という、鉄筋組立の技能を競う大会があるのですが、ちょうど2017年が開催年だったので合わせて行いたいと考えました。さらに、普段鉄筋業界に携わっている方の家族に対して、仕事を理解してもらうためのファミリーイベントや、将来この業界で働く可能性のある若者や学生に向けてもアピールしたい……そう考えると、3日間行わないと十分ではありませんでした。加えて、ビジネスデー、「TETSU-1グランプリ」デー、ファミリーデーと日程を分けて行いたかったことも理由にあります。
秋山
ただ、その“分ける”というのもイベントを行う上で実はハードルが高くて……。それぞれの日付で来場ターゲットが異なるため、集客が分散してしまいます。出展される方も日によって見込み客だったりファミリー層だったりと対応を変える必要があるため、難しさを感じていました。しかし、私の役目は実行委員会の皆さんの意見をまとめて形にすること。とにかく想いを具現化できるよう、意識して取り組んでいたからこそ実現できたのだと思います。
松本様
3日目、ファミリー向けのステージ企画は、なかなか決まらず苦労しましたね。
秋山
実行委員会の「業界が盛り上がる企画に徹したい」という想いは重々承知していたのですが、良い企画がなかなか生まれませんでした。どうするべきかと悩んだ時に思い当たったのが、ある企画会社の存在です。当時、別の案件でトーガシと取引を始めたその会社に相談してみました。すると偶然、その会社の社長がなんと鉄筋工のご子息。そしてご自身も、鉄筋とトーガシのそれぞれの現場でアルバイトしていたというのです。
松本様
もちろん鉄筋業界のことをご存じなので、鉄筋アートや高校生クイズなど、企画のネタとなるアイデアがどんどん出てきましたね。
秋山
その社長が「企画部分は私が担当しましょう」と受けてくださったおかげで、スムーズに決まるようになりました。

――秋山さんは、実行委員会の皆さんの想いを実現するために奔走されたんですね。

秋山
それこそが私の役割だと思っていましたし、最終的には私も皆さんの「鉄筋業界を良くしていきたい」という想いと同じ気持ちになっていましたね。実行委員会の皆さんも温かく支えてくださって、ありがたかったです。

出展者、来場者ともに満足度の高いイベントが実現
次回以降の開催に向けて、大きな弾みに

――イベントの集客はいかがでしたか?

秋山
目標である「3日間通して12,000人」に対して、事前のWeb入場予約は3000人ほど。予想よりもはるかに少なかったので、さすがに不安に思っていました。ここまで時間をかけて取り組んできたのに、人が来なかったら努力が水の泡ですから。でも、松本さんはそんなに悲観していませんでしたよね。
松本様
我々のお客様や、実行委員会の会社にもお願いして、参加者を集めていました。全国のお客様は「行く段取りはしているから」と言ってくださっていたので、きっと来てくれるだろうと思っていたんです。初日を迎え、「入口に行列ができています!」と連絡をもらったときは最高に嬉しかったですね。夕方には、秋山さんから「初日、4000人入りました!」と電話がきて、大喜びしてしまいました。
秋山
結局、2日目も1日目以上に来ていただけました。3日目は主に関東地方から来られた家族連れが多かったですね。最終的に3日間合わせて目標の12,000人を達成できました。「TETSU-1グランプリ」のステージで見た映像には、鉄筋工の職人の方がとてもかっこよく映し出されていました。イベントをプロデュースすることによって、微力ながら鉄筋業界のお役に立てたんだなと改めて感じましたね。

――参加された方からの反響はどうだったのでしょうか。

松本様
出展された方の中には、「この展示会がきっかけで売り上げが大幅に伸びた」と言ってくださった方もいます。また、建築や土木の設計に携わる方もご来場いただき、「鉄筋の設計をしているのに知らないことがあり、とても勉強になった」と言っていただけたのも嬉しかったです。この展示会が新たな発見の場となり、業界内の結びつきの強化にも繋がったのだと思うと、自分の考えは間違っていなかったんだと思えました。
秋山
来場者の方は、建築業界の展示会ではなく鉄筋EXPOに来ている人なので、全てが鉄筋関係者。だから、出展者側は全員がお客様になりえるし、来場者側も全てが自分に関係のあることなんです。建築展などに出展すると、鉄筋に興味のない方はブースを素通りしてしまうのに対して、鉄筋EXPOの場合は半数以上のお客様が話を聞いてくれる。その点は、業界を絞ってイベントを開催する強みだと再認識しました。出展された方からは「もっとブースを広くすればよかった」という声も多かったです。
松本様
我々のブースはトーガシさんに作っていただき、1日5回の実演を行いましたが、3日間、各回とも人があふれるほどの超満席。客席を段状にすればよかったかもしれませんね(笑)

――トーガシに頼んでよかったと思えた瞬間はありますか?

松本様
全てですね。この企画を最後までやり切れたのはトーガシさんのおかげ。私が最初に旅行先でイメージしていた通りの展示会が開催できたのは、トーガシの秋山さんのおかげだと思います。
秋山
私も、この鉄筋EXPOがトーガシの未来を築く礎になると思って取り組んでいたので、完走できてホッとしています。トーガシが、施工だけではなくイベント総合プロデューサーとして、お客様のお手伝いができる会社に進化していくきっかけになりました。今後は、長年施工を続けてきた強みを活かし、「イベントのプロデュースならトーガシさんだよね」と言われる存在を目指したいと思います。

――今回成功に終わった鉄筋EXPOですが、今後の予定はありますか?

松本様
もちろん1回限りで終わらせるわけにはいきません。鉄筋を含む建設業界は浮き沈みが多いので、どこかで業界が盛り上がる仕掛けを継続的に生み出す必要があると思っています。だからこそ、次回開催を目指してまた頑張っていきたいですね。トーガシさんには、最先端の展示会のアイデアを教えていただきたいなと思っています。
秋山
私たちが次回もパートナーとして選ばれるよう、さらに知識と経験を増やして力をつけていきたいと思います。
松本様
ちなみに反省として、出展の申し込みやステージ企画などはもっと早く動き出せたらよかったです。今回は、出展の集まりが良くないと判明してから各会社にお願いにまわったので、かなり期限ギリギリになってしまいました。「今年の予算はもう終わっているよ」と断られてしまったり……。ただ、今回の様子を見て、「鉄筋EXPOなら出展するメリットがあるね」と言ってくださる声もあるので、次回はもう一回り規模を大きくして開催できるかもしれませんね。
秋山
確かに、今回は立ち上げから開催まで2年のスパンで企画しましたが、短かったかもしれません。ステージ企画も1年前から決まっていてパンフレットが配布できれば、より集客に力を入れられたと思います。実行委員会の皆さんが一生懸命取り組まれたイベントなので、もっとさまざまな方に来ていただいて、鉄筋業界について知ってもらえたら。次回の課題にしたいですね。

――本日はありがとうございました。