アップサイクルとは?リサイクル・リメイクとの違いやイベント事業の具体例を紹介

アップサイクルとは、捨てられてしまうもので新しい製品を作り、新しい価値を与えることを言います。
本記事ではアップサイクルの意味やリサイクルとの違い、目的、活用事例などについて触れていきます。SDGsが注目される中で企業がどのような取り組みをしているのか、イベント会社であるトーガシの事例もご紹介します。

1.アップサイクルとは?

アップサイクル(アップサイクリング)とは廃棄物や不要品に新しい価値を与えることで、価値を高めるような加工が大切です。例えば、穿かなくなったジーンズからバッグを作ったり、古くなったシャツをアレンジしてオシャレなデザインのシャツに変えたりといったことが当てはまります。

1-1.アップサイクルの歴史

アップサイクルという言葉が知られるきっかけは1994年10月11日の「Salvo NEWS」内で紹介されたレイナー・ピルツ氏の言葉と言われています。アップサイクル・ダウンサイクルという概念は再利用の「質」を考えさせるものでした。

” I call it(Recycling) down-cycling. They smash bricks,they smash everything. What we need is upcycling. where old products are given more
value, not less”(Salvo NEWSより引用)
“私は物を壊すだけのリサイクルをダウンサイクルと呼んでいる。私たちに必要なのは古くなった製品の価値を下げず、価値を高めるアップサイクルだ。”(執筆者意訳)

また、1800年代の思想家であるラルフ・ワルド・エマーソン氏も「自然界には寿命を終えて捨てられるものはない。そこでは最大限利用された後も、それまで隠れていた全く新しい次のサービスに供される」と語っています。

2-2.ダウンサイクルとは?

アップサイクルの逆の概念として「ダウンサイクル」という言葉があります。例えば、古くなったタオルを雑巾として使う場合がそうです。この場合はタオルから雑巾といった具合に価値が下がります。ダウンサイクルを続けると、いずれゴミとなってしまいます。

2.アップサイクルはリサイクルやリメイクとどう違う?

リサイクルのイメージ

アップサイクルの意味を見てみると、サスティナブルという枠組みの中で混同してしまいそうな言葉が多くあります。それぞれ何が違うのか見ていきましょう。

2-1.リサイクル(Recycle)

アップサイクルに一見似ているのが「リサイクル」です。しかし、両者には違いがあります。リサイクルはいったん不用品を粉々にして、製品が作られる前の資源の状態に戻します。そして、再度、製品を作るのです。例えば、ペットボトルから衣類を作る場合が当てはまります。
一方、アップサイクルは不用品の素材や特徴をそのまま活かして、新たな製品を作り出すことをいいます。例えば、不要になった空き缶を活かして、植木鉢という新たな製品を生み出す場合がそうです。

2-2.リユース(Reuse)

リユースとは自分が使わなくなったものでも必要としている人がいる場合、その人に譲ることで再利用することをいいます。原則として、素材に手を加えません。もう着ることない洋服をセカンドハンズショップで買い取ってもらうことや、フリマアプリなどで売買することもリユースといえるでしょう。

2-3.リクレイム(Reclaim)

使われなくなったものを、有益な形で再利用するという意味で近いものとして「リクレイム」というものがあります。これは「再生利用」や「取り戻す」「開拓する」という意味ですが、廃材を出来るだけ本来の状態に戻して、再利用する事を指します。
古民家などから出た古材を「リクレイムドウッド」と呼び、数十年から数百年以上も前の無垢の素材には、独特の質感や歴史を感じさせるヴィンテージ感を感じさせます。それを新たに価値を高める建材と使用することはアップサイクルと近い概念といえます。

2-4.リメイク(Remake)

不用品の素材や特徴を活かすという点においては、アップサイクルと同じですが、リメイクの場合は違う製品を作るわけではなく、手を加えてアレンジすることをいいます。「古着をリメイクする」というようにファッション業界でよく使われる言葉です。

3.SDGsの一環!アップサイクルが注目される理由

なにかモノを作るであったり、イベントを開催したりする行為は、どうしても廃棄物が発生させてしまいます。年々、地球環境に対する負荷が増しているため、企業としてはこうした廃棄物をどのように減らしていくかが大きな課題となっています。

廃棄物が出やすい業界としてまず思い浮かぶのが、フード業界でしょう。まだ食べることができるにもかかわらず、毎日、食べ物が山のように捨てられています。あまり知られていませんが、ファッション業界も石油業界に次いで環境を破壊しているといわれる業界です。というのも、1年間で8割以上の衣類を廃棄するからです。

さらに、開催時や開催後に大量の廃材が出るイベント業界も環境負荷が大きい業界になります。こうした業界では、廃棄物の問題が特に深刻です。そのため、地球や自然環境を守るための取り組みとしてアップサイクルが注目されているのです。アップサイクルはSDGsの一環です。そのため、個人だけでなく企業レベルでの意識改革が起こり始めています。

4.アップサイクルをなぜ行うの?目的とメリットについて

アップサイクルとは不用品を生まれ変わらせることを意味します。しかし、それだけが目的ではありません。アップサイクルの本当の目的、および期待できるメリットについて、次から紹介しましょう。

4-1.目的

アップサイクルはただ単に不用品の素材を再利用することを目的とはしていません。最終的な目的は新たな価値を加えることで、元の製品よりもグレードアップした製品を生み出すことです。
地球に存在する資源やエネルギーは限りあるものです。アップサイクルを通して、大量消費社会に対する問題点を意識できるようになるでしょう。そして、本当に必要なものだけを購入し、手に入れたものを長く使っていくべき、という価値観を育てることができるのです。

4-2.メリット

アップサイクルの特徴の1つに製品そのものを活かすという点があります。リサイクルのように元の製品を分解して原料の状態に戻すことはしないのです。そのため、リサイクルと違って、製品を分解したり溶かしたりすることがない分、エネルギーの消費が抑えられます。さらに、原料に戻すための工場も必要ないのです。リサイクルと比べて、再生時にコストを抑えることができます。これはそのまま地球環境への負荷が減ることにもつながるのです。
リメイクやリユースと比べても、アップサイクルには利点があります。実は、リメイクやリユースを行っても、製品の寿命はあまり延びないという傾向があるのです。一方、アップルサイクルは別の価値ある製品に作り変えます。そのため、単なる再利用よりも製品の寿命が長くなるのです。さらに、製品に付加価値がつくことも多くあります。

5.不用品が役立つアイテムに!アップサイクルの事例

アップサイクルの事例は数多くあります。次から、ファッションや雑貨、イベントといった分野でのアップサイクルの事例を紹介します。

5-1.ファッションや生活雑貨の事例

穿かなくなったジーンズはデニム素材のため、強度があります。ものを入れても底が抜けることがなく、カバンの素材に最適です。そのため、ジーンズを使ってカバンやポーチを作ることができます。ジーンズのポケットの部分はそのままカバンのポケットにも流用可能です。同じくTシャツの裾を縫い合わせ袖を切って持ち手にすれば、エコバッグになります。このようにファッションや生活雑貨のアップサイクルはバリエーションが豊富なのです。

リサイクルデニムイメージ

ユニークなものとしては、ファストフードチェーン店が不要となったプラスチックストローを水着にしたり、大手自動車メーカーが車の素材をトートバッグやジャンプスーツ、アクセサリーといったファッション製品に取り入れたりした事例もあります。

海外でもアップサイクルは注目を集めており、欧州ではアップサイクル製品を20年以上扱っているブランドも存在しています。オシャレなファッションアイテムとして確固たる地位を確立しているブランドも多いのです。代表的なものですと世界的に有名なトラックのホロを再利用した鞄メーカーの「FRITAG」、日本メーカーの「SEAL」破棄されたタイヤチューブを回収し、素材の特性を最大限活かしながらバッグや靴などのメイン素材としてリユースしていたり、「Öffen」環境に配慮したリサイクル素材をできる限り使用し、アップサイクル製品を取り扱っている企業です。

5-2.食品の事例

近年、フードロスに対する関心が高まっています。食べ物の余分な生産と、食品の廃棄を防ぐために様々な取り組みがなされていますが、「食べられる部分を増やす」ことも一つの環境配慮といえます。おからクッキーや酒粕焼酎などもアップサイクルの一例ですね。

注目される取り組みとして食品の定期購買サービスを提供する「オイシックス・ラ・大地株式会社」のUpcycle by Oisix」というプロジェクトがあります。捨てられる部位だったナスのへたやリンゴの芯、バナナの皮などを「ここも食べられるシリーズ」というお菓子に生まれ変わらせています。

5-3.展示会での事例

開催時や開催後に廃材が大量に出るイベントや展示会でもアップサイクルは活発に行われています。アップサイクルはSDGsの1つとして、企業がサステナブル素材や廃材の活用を行っているのです。例えば、環境への負荷が少ない再利用可能な素材でパネルを準備しています。段ボールやハニカムボードを用いた展示スタンドを使用している事例も多いのです。

このほかにも、展示会で使用する特注サイズ什器(細長い机)をペットボトル170本で作ったという事例もあります。もちろん、大規模なイベント会場の什器をすべてサステナブル素材にするのは難しいでしょう。しかし、要所要所でサステナブル素材を採用することで環境に配慮できるばかりか、多くの来場者の目を引くことができます。

リボード作品

6.環境配慮型イベントの事例:トーガシ編

㈱トーガシのイベントや展示会向けに環境に配慮したサスティナブル素材や、SDGs関連の企画を紹介します。

6-1.廃棄物の少ない資材を使ったディスプレイ事例

内照式のテキスタイルメディア「Textile LED Box」は繰り返し使えるシステムフレームを使用、あらゆるサイズのグラフィックウォールを作ることができ、従来の木工壁面+プリント紙のイベントや展示会の制作物よりも廃棄物量が10分の1に、設営、運搬の費用は3分の1になっています。

トーガシの低環境負荷ブースの例

6-2.SDGs関連の企画事例

2022年3月16日~3月17日に東京国際フォーラムにて開催されました「PROJECT TOKYO 2022 March」へ協賛出展した際の企画で、廃棄衣料をアップサイクルした 素材を利用し「Upcycle Drink Coaster/アップサイクルドリンクコースター」を作成、配布しました。QRコードを読み取ると「トーガシのSDGs宣言」特設サイトへ飛ぶことで、より取組を理解してもらうように工夫しました。

プロジェクト東京ブースイメージとコースター

7.イベント展示会はアップサイクルを意識!プロに相談を

アップサイクルは廃材の削減はもちろん、環境を守ることにもつながります。アップサイクルはSDGsの1つです。そのため、企業活動において、よりいっそう重要な位置を占めるようになるでしょう。展示会・イベントの開催をトータルでサポートする「トーガシ」では、サステナブル素材、リサイクル素材などを活かしたイベント・展示会・ディスプレイなどの企画や制作などを行うことができます。一度、相談してみてはいかがでしょうか。

8.資料DL「環境負荷軽減と出展効果を両立させる展示会ブース?」

環境負荷を考慮した事業継続への関心が高まる中、イベントや展示会も業界もサステナブルやカーボンニュートラルといった「環境負荷を減らす素材選び」が重要になってきています。しかし、イベント展示会の重要なテーマである「訴求力」が減るのは困ります。この資料では「環境負荷軽減と出展効果を両立させるブースづくり」参考価格と共に紹介いたします。ぜひご覧くださいませ。
※送信完了後、記入いただいたメールアドレスに資料を送付いたします。

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